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赤紫に冷めた花は ――ヒヤシンスに似ている
ザァザァ降りの雨、いま、すこし無機的な部屋で
窓につたう水が色々に道を選んでいった
過去を遡るような、現代文明のような、時計の音
そして樋から落ちる雫
奇妙なシンコペーションは
いまこそと言わんばかりに一人の知識をあざけり始めた

心地よさを穿つもの、しかし、敵だろうか?
彼は、しばらく黙していようと思う
腹においてある筈の大きな塊が
徐々に雨と溶け出していく様だ
一体、何を晒すために外を眺めるの

第六感の思想が口をきく
始まりが、とうの昔に過ぎてしまったらしい
この部屋はどんな明るさに面喰らったこともないのだ!
きっと窓さえ、割れ方を忘れている
一秒が、流れるよりも溜まっていった
やがてそれだけになった
目と耳だけなようだ、本当に存在するのは ――
自分の呼吸を、ついに思ったが
それは不自然としか言いようのない後味の悪さだ

まさに彼は生きようとしていた
酸性の臭う空気の中に夢は見なかった
歴史でも未来でもなく、時計の音はするのだ
座り込む人は確かに変わっているし
いつもまったく同じ部屋が刻まれる
けれど、そんなことよりも
もっとどうでもいい事の山積みによって僕らは
混迷する心を余計にひどくしていたのだ

はたりと彼は思いついた、間接的に伝えること
灰のような唇で何を拭おうというのか
溺れる、雨の中
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