忍者ブログ
不定期更新中。
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

おどろいたの あたしは裸で
人もいないのに 露わだった
遠くでラッパが鳴って 目が覚めた
そんな週末に 空が泣いた

残ったお酒の飛沫が 頬を傷つけ
もっと美しく なれっていうよ
動かない心さえ ないことに弱いなら
あなたまるごと忘れたい 濁る街ごと

ビルの上のほうから 光がもれ込んで
掬い上げてくれるような時間に
そっと譲るよ 運命を
だってもう あなたはいなくて
あたしは あなたがとうとう
誰かを殺しちゃったんじゃないかっておもったの
だけど 幸せな天使が教えてくれる
明日になれば分かるってね

それなら この気持ちも
あなたになにか良い偶然をもたらすように
置きっぱなしで ここを出るよ

PR
周囲に絡みつくいろいろなものを吸いとって
私は海になる
意思のない海になる
触れない海になる
きれいなあまつぶがぴょんと跳ねる
そしてどこまでもいく
苦しくはない方へ

私のようなものが私の海で溺れている
波打ち際で誰か泣いている
知らない人だ
ビーチボールが流れてきた
形のあるもの
そういえば昔子供と遊んだ
今はもうないもの
何にもならないもの

こんなところにいたんだね
心は。
あなたが舐めてしょっぱいという
かかえきれないものが
いつのまにかここに
もう私は海になる
意思のない海になる
触れない海になる
パセリは苦い
人生のようだ
と、いってみたものの
本当は特に苦いとは思わない
パセリはマリネに入れても美味しい

私が語りえないもの、それは死
死は語る、とこまでも深く
けれどもそれ自体は苦味ではなく
ただ、なにでもない

彼も、パセリを
食べたことがあっただろう
人生のようだと、例えばそのとき、言えただろうか
重大なことを感じたときには
きっともう遅いのだ

レモン入りのマリネは酸っぱい
人生のようだ
と、いっても同じである
真実に届くことはない

そのまま、ぼぉっとなる私は
パセリを粉々にちぎる
命の尊厳、そんなはかない筈のものさえも
無心で彼に祈りながら






なだらかな足跡を 滑る形跡を
なけなしの空を 消防自動車色の雲を
エンジンかけっぱなしのバイクを 水鳥を

あの人が持っていた 白い手紙を
宇宙を ニス塗りのおもちゃ箱を
どこにしまったか 忘れたままの鍵を

シャガールのヤギのような 夢の中の羊を
50年の時を経た 鷲鼻工学博士の
祈りを包んでしまった モス・イエローを

愛していた 君を
碇形のクッション 捻れた風の私鉄ダイヤと
時間が流れていく まともな世界を
やさしい人になりたかった

やさしい人になりたかった
それは何のため

やさしさよりも気遣いだよといった
やさしかったかどうかはいつもびみょうだ
気遣ったつもりかどうかなら頷ける
たとえ無意味でも

やさしさは何のため
うつくしさのため

破砕されるときをじっと待っている
碧いビー玉のうつくしさ
やぶれるときのうつくしさ

うつくしさのため
ではなかった

やさしさは何のため
よろこびのため

朝目覚めたときの
君がはにかむよろこび
見えないところに触れるよろこび

よろこびのため
ではなかった

それは考えてはいけないことだ
それは何にもならないことだ

やさしさは何のため
つながりのため

一生傷を守るつぎはぎ
透けはじめる日をつなぎとめる眼差し
透けはじめる人へのつながり

つながりのため
ではなかった

やさしい人になりたかった
そうしてわたしは
床と天井が絡まってひとつになってしまうまで泣いた

忍者ブログ [PR]