そのまま書いてみた2首

温泉に　ビタミン剤と　風邪薬　痛み止めまで持っていく鬱　(泣)

メーリスを略し違える妹の舌で楽しげに跳ねるメーリン

空

どことなく薄い都会の昼間
ビルたちはそれを栄養分にして
ニョッキリ伸びた
見上げれば
青信号
行けばいい　私

手を揺らせて
楽しいことを憶える私のまえで
空中で戸惑っていた感情が
パチンパチンと割れていく

大きな大きな
青信号
だから
行けばいい　私
そう
いつか
品のあるオバアサンになるために

子供になる6首

いつもより遅いバスなら特西2　特別な場所へ導きそうな

背中から進んでゆくバスもしかして私は過去へタイムスリップ

黒い猫振り向き姿が怖かった　ちぎれた尾の先返せというの

さっきから両手使って本当は送らぬメールいじる待ち人

こっちから眺めるだけじゃ悪いから公孫樹よどうぞ私を見てね

また派手に塗ったもんだと飛び乗った水色ベンチで子供になった

天国

一つ去って
二つ去って
三つ去って
それでもまだ何か残るというなら
彼が持っていてほしい

僕はひとりで空になって
白い大地を這う無限の生き様をながめていた

泣いている
どこまでも

晴れた空のうしろで

泣いている
どこまでも

循環

ポケットに手を突っ込んだまま
水道の蛇口の前に立って
考えうる範囲のすべての悪徳を流してみた

けれどもその日夕立があり
少し強気な水が
僕だけでなくいろいろな人を潤していった