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白い海に浸る玩具の小舟
と、いう事実
それが始まり
文学者の、具体的な抽象
ちゅ、ちゅ、抽象
しけた靄の中
ポツリポツリ波紋が生まれ
何かがあると――無根拠に――思わせる力
やはり気になるのか
素晴らしい! 理屈は通っている
今在る、虚構の始まり、始まり
白い海に浸る玩具の小舟
は、浮き、沈み、
波紋ポツリポツリ
サーッと広がる
そんな音楽に潜む
思想とは ――自己満
創造とは ――自己満


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睡眠に支配された生が ついに忘却の海で溺れ
あなたさえも姿を壊して 静かに
遠く聞こえない喚声の底へ 散り積もる日
 
何億年の気配に例えて 愛する様はひとつ
何もかも娶ってゆく色彩の無い空へ
 
昔だれかだった破片と 永遠の意志
数え切れない仲間がいるから
命の願が今 美しさに敗北して舞い上る
 
運びゆくべきはもう軽いけれど
臆病さを 許せますか
 
愛の亡骸は やがて群れとなって降り注ぎ
光の終焉の地で あたらしく出会う
残像は 憧れた空の砂
死者だけが瞳を閉じて 何処へ還りゆく日


 
五階の外へ手を伸ばす
不思議だな ここは世界の果てでもないのに
何の臭いも感じないなんて
 
でもね 私は思う
大海原のよな都会を前にして
この中に、一つでも私でないものがあろうか、と
 
何故って見えるんだもの
空という舞台の中にも
やがて泡が ポコ、ポコ、ポコ
 
ひとつ、ふたつ、みっつ、それから
 
契約書は 一介の淀みになり
電柱は サンゴになり
はぐれ雲は 小魚の群れになり
 
後から後からポコ、ポコ、ポコ
 
図書館は 大魔神の化石になり
音楽は シロウリガイになり
私の夢は 揺れる昆布になり
 
男は 次の泡になり
小さな鳥は 次の標識になり
 
靴は 動かぬヒトデになり
吐息は 出入り口になり
ガラスの破片は 栄養分になり
 
ポコ、ポコ、ポコ・・・


どの文字も何故かぼやけて重なって「ねむい」の三字に「。」で完結

ノリノリの鋭いドラムス
少しずつずれるワイパー
なんたる侮辱。

うたた寝に狂った時計が叫びだす 朝といっても分からぬ夕日

彼の舌がんばっている 後悔を後ろに立てて背水の陣

西山へ軌跡を途切れぬ雲にしてあの飛行機は大空を斬る



 (即興1)

一編の詩を絞り出して一杯のオレンジジュースを飲み
コートを羽織って散歩に出ると
何故か月はいつでも山の端ぎりぎりのところに飾ってあった
研ぎすまされて
あまりに細く
落ち着き払った爪跡だった

随分ご無沙汰だった友達と行き違い
冷たすぎる今日の夜風にお互い声もかけぬまま
少しの間隙ののち振り返るとそこに月の画はない


 (即興2)

悪戯に覆う雲が私を試すのだろう
嫌味に笑って光だけが洩れる物語の夜
つまりはあの月が偽物である


 (即興3)

まあるい月の夜は
気を付けた方がいい
実は覗き穴なのだ
知っていたかい?
あの穴を抜けると異次元なのだ
自転車で坂道をまっすぐに下っている時も
ライトを点灯しないのはこの為なのだ
気を付けな君も見られているのだ


 (即興4)

月ほど自由でないものはない
結局私たちから離れられない
そして月はついに意志を殺した
一切の抵抗をやめ調和を図った
だから月に温度を期待してはならない


 (即興5)

月は
常に時空の亀裂に存在するので
見たいときに見られるというものではない
しかし
空想の夜さえも
同じ月が支配していた


 (即興6)

あの美しい上弦が 空の谷間に吸い込まれて
「沈みたくないよう、沈みたくないよぅ」
と、言っている
待っていたのに 夢見心地で
「美しいでしょ?少し泣いているけれど…」
それでも貴方は聞かないだろう


 (即興7)

昔々美しいお姫様が帰っていったのヨと聞いたとき
私は何を思った

ネオンの間にふと見えた月にも伝説は乗らなかった
暗い道路の先にふと見えた月にも伝説は乗らなかった

生まれた場所でも帰る場所でもないところが月だ
私はお姫様になることが出来ない

私よりもこの枯れ葉の方が遥かに月に近い
伝説を語り継いだ人々はそれぞれ知っていたのだ



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