忍者ブログ
不定期更新中。
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8]  [9
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

雲の色 ほどける たゆたう たゆたう
吸い込まれていく 雫に映り込んだ さかさまの西山

遠ざかるあめおとを 次の街に聞いた
靄の残る道半ばで うつくしくて佇む

埋まっていた宝物は ぜんぶとっていってしまったよ
というような 静けさに 虫達は息を殺して
いまはまだ 伴侶は呼ばない

きのうの波乱の逸話を 知りもしないで
倒れたパンジーの鉢を起こす 男も
でもあの中に いたのだろうか
うっかり濡れた溝色の猫も

次の街は 小さく濡れて
嫉妬も あらわれる あらわれる

乱反射する何かを 透明ににごしながら
たのしいことを 排除し始めるのは
ずいぶん冷えた体のせい

ああ 荒れることもない朝に
私が語って良いのなら
産まれるのはいま
母の力も借りずに

雲の色 ほどける たゆたう たゆたう

PR
1.バイク

暴走したバイクの音がきこえる
まるでなげきのようにきこえる
誰のものかはわからない
いろいろな生命のなげき
みんながんばっている
それだけで力になる


2.埃

ストーブを除けると
埃が居た
きちんとストーブの形を留めている
どこから来たのかさえ分からないけど
いつからかそこに安住した
それらはきっと生きていて
優しく舞い降りたのだ
汚れているのに素敵な部屋


3.おでん

つきさしたちくわから
白いもやがでてくる
鍋の外に出たらもう生きられない
宿っていた生気が抜けていく
見る間に死んでいくちくわ
なくなる前に早く口へ運ばなくては!


4.自転車

気付いたら 5m前に
赤いカーディガンを着た女の人が
銀の自転車を漕いでいた
つかず離れずのわたしは
うまく気配を消すこともできずに
ちょっとばつの悪い感じで進んでいた

落ち葉はカサッカサッと必ず二回鳴る
わたしが通るとき人の波はすでに開いている

学校へ曲がる交差点で
わたしたちは分かれた
赤いカーディガンは 振り返らずに
ちょっとだけ 他人だった


5.カミキリムシ

カミキリムシの絵を描く
細い線を重ねる
星のない丑三つ時
大きなカミキリムシを描く
不つり合いな音楽をかけていた
それはだんだん賛美歌のように響き始めて
これが宿題でも何でも
このまま描いてやろうとおもった

最後の刃は
あなたの心臓を貫けばいいと思う
永遠に抜けないように
きつく深く
あなたはどうせ解放されないから
美しすぎた心に
武器をあげたい

その1
 
あたしの声が形になったから
不用意に吐き出した言葉なんか
全部食べてやった
 
 
その2
 
書いた文字がひらひらと
あたしの蝶になって
形而上的な羽で
空を散らす
 
理解できないあなたが
優しく微笑む隙に
嘘をついた
 
 
その3
 
空のせいじゃなくて
焼けた心を冷やすため
 
心の中の化学反応が/死んでしまったの/材料はまだまだあるのに/消化もされずに/ただ詰まっていくなんて/ああ苦しいのは/足りない核のせい/きっときっと!
忍者ブログ [PR]