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一昨日の新聞が
やっと届いた
それで良かった
事件はもう流れていた

違和感の中で
うつくしく生きる
何ひとつ狂っていない

答えを求めるなら
わたしもそう
言葉を知らないまま
お腹に還りたかったけれど

世界は少しだけ
今日を捨てていく

自分だけおかしいみたい
項垂れる友達を
見ないふりをした
わたしもそう

ああ なんてこと
確かに空は狭いけれど
誰ひとり狂っていない
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真正面の山の向こうに弱い掃除機があって
雲と云う雲がみんな吸い取られそうだ
夕暮れの空はそんな三次元の形で世界を包んでいた
淡い人参ポタージュ色の背景に追付いたのは
痩せて、しかも白い月
私は残っていたわずかばかりの誠意をかけて
影の落ちた橋を渡ろうとするが
繋ぎの鉄の隙間がよっぽど広く開いたのをみて
率いた犬をも驚かせて、行くのを拒んだ
その瞬間、何処とも知れぬあちこちから羽ばたきが湧き上がり
あっという間に頭上の空を蝕した
なにかのクライマックスのような叫び
黒い炭――なにかの燃え滓――が散り散りに舞っている
風の僅かな日、だった

造りかけの駅で
夢ひっかかって
真珠を落とす

働く大人が
うたた寝する間に
真珠を落とす

匿名の夢は
誰か蹴飛ばして
今のうちに次へ
私なんかいない次へ

ひっかかったの
色々な余分
暮れかかった西山に今日の名残がしがみつく頃
生ぬるい風が、木綿の垂れ幕をハタハタさせる
いつからだろう、この喧噪は? 団体戦は?
しかし今や時間は穏やかで
犬は気持ち良さそうに放尿する

今や彼らは幾つかの手段を知っているから
怒りの赤ペンキに論理を委ねて
反対とは言います…
影は薄く伸び、それを黙って踏みながら
私は私のことしか知らないのに、と
住宅街の真ん中を下を向いて歩く

目の前の家に、ふいに灯りが点る
犬は、そろそろ帰路に着かんとして
確かな足取りで、分かれ道を左折する
夕焼けに染まりながら、垂れ幕は揺れ続ける
どれだけ抵抗しても、ここは孤島ではない
いつか大いなる風がこの垂れ幕を吹き飛ばすまで
しばしの、戦いごっこだ、生活と生活との

一分単位で沈んでゆく色彩
曲がり角の先にはもう、夜が佇んでいる
幸せな家庭に、今日も、温かな時間がやってくる
トントントントンと包丁の音――怒声でなく――が洩れる道を
ひょうきんな足取りで突き進む犬を見ながら
お腹が空いたな、と思うのだった



消えないイメージの中で
彼を砕いた電車がときどき笑う

嘘だと言ったのに

よく晴れた六月
鉄の黒さに騙されたのね
きっとそう
それだけで

俯いたお父さんの背中が
あんなに小さくなっているよ

崩れたお母さんの愛は
永遠に過去をまわるよ


どれほどの人に求められていたか
分かっているの 見てよ
絶え間ないこの行列
あの頃の主要人物たちが
みんな集まってくる
そして それより多くの
私の知らない年月の分の
知らない顔も泣いている

ねえ 誰も救えないよ
煙が細くのびる

ねえ 誰も届かないよ

彼だけ知っている想いが
そこにはあって
彼にだけ見えていた
景色があって
今 ぜんぶ本当になる

それでも
あの娘は生きるよ
だから逃げたの


あんまり空が青い日は
何にだってなれそうだから

どうかひとつだけ 教えてほしいことがあるよ


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